ESDのためのKODOMOラムサール国際湿地交流
<チャオプラヤ下流域>

2013年1月9日〜11日/タイ国・ナコンパトム

 主催 :ラムサールセンター(RCJ)、
    ESDのためのKODOMOラムサール実行委員会(RCJ、積水化学工業ほか)
 協力: 国連UNESCO、国連ESCAP、国連UNEP/ROAP、ラムサール条約事務局、
    タイ天然資源環境省(ONEP)、チェンマイ大学(CMU)、マヒドン大学(MU)、
    タイ野鳥保護協会(BCST)、国際協力機構(JICA)、
    ラムサール条約登録湿地関係市町村会議、フィールドアシスタントネットワーク(FAN)
 助成:地球環境基金、積水化学工業、NEC学生バードソン
 子ども参加者:41人(日本19人、タイ22人)
  チャオプラヤ川の河口に広がるマングローブ林や泥干潟は、渡り鳥の重要な休憩地として、さまざま魚介類のゆりかごとして、バンコクの人々の暮らしに重要な役割を担ってきました。今回は、その河口に広がる豊かな生態系と、人々の生活をテーマに「チャオプラヤ下流域の宝探し」をして、国際協力・交流を深めました。なお当初計画はバンコク市内の国連ビルで開会式の予定でしたが、デモ行進などの影響で、3日間とも郊外のマヒドン大学サラヤキャンパスで実施となりました。
 日本から参加した子ども代表は、宮島沼(3人)、蕪栗沼・周辺水田(2人)、琵琶湖(8人)、藤前干潟(6人)、タイからは、Chiang Mai(3人)、Chiang Rai(3人)、Lamphun(3人)、Nakhon Sawan(3人)、Sam Roi Yot(2人)、Don Hoi Lot(2人)、Kut Ting, Bung Kan(2人)、Nong Bong Kai Non-Hunting Area(2人)、Krabi Estuary(2人)から計41人、13湿地が参加しました。引率などの大人は両国で計44人でした。

  開会式で勢揃いしたKODOMOたち      日本語通訳でお世話になったタイの大学生ボランティア4人
  1日目。マヒドン大学での開会式には、Dr. Christopher Briggsラムサール条約事務局長からのビデオメッセージや、UNESCO、UNEP、ONEP、JICAからのキーノートスピーチをいただきました。劇団シンデレラは「ESD生きものミュージカル」と、ESDソングで盛りあげてくれました。
夕方、日本(4湿地)と、タイ(9湿地)の子どもによるそれぞれの湿地の紹介、活動内容などの発表がおこなわれました。両国の子どもは、知らない湿地と生きものに感心したり、同じような活動に納得したり、いろいろな質問が飛び交って熱心な楽しい交流会議となりました。
夜は、ファシリテーターの中村大輔先生によるオリエンテーションがありました。

 生きものミュージカルのようす               活動発表のようす
 2日目はフィールド学習です。バンコクから南へ1時間強、タイ湾北部の海岸、コックカーン地区で6年前からおこなわれているマングローブ、伐採消失した再生の植樹の現場を訪れました。マングローブ保全活動を立ち上げた地元の人たちの話を聞いてから、植林現場を見学しました。海岸線の侵食を防ぐため、地元の人々が考案した竹で防波堤をつくるようすや、その活動の結果、離れていたイルカたちも姿を現すようになるなどの、生きものの豊かさが復元されていました。地元の1人の漁師のアイデアと活動からはじまった、湿地再生の市民運動の成果を学ぶことができました。
 マングローブ植林に取り組む地元のガイド  植林現場

 2カ所目のドンホイロー(Don Hoi Lot)へと向かう移動中には、伝統的な手法の天日干しで塩づくりをおこなう塩田が続き、人々の暮らしと湿地の恵みが密接に関わっていることを学びました。
ラムサール条約登録湿地である「Don Hoi Lot」のDonは干潟Hoi Lot ホイローはタイ語でマテガイという意味です。ここは干潮時には広大な砂質干潟が一望にひろがり、マテガイがたくさん取れることが有名で、タイの人々は潮干狩りで多く訪れます。今回は小型のボートで沿岸のマングローブ林や地元の水上集落を見学しました。日本では見たことがない、大きなトビハゼや(・・・・)トカゲ、日本にも渡ってくるアジサシやサギの仲間がマングローブや干潟の上空を飛んでいました。日本との違いや、共通点を感じることができ興味深いツアーとなりました。昼食では、名物のホイロー料理や、干潟でとれた魚など、湿地の恵みを堪能しました。


 ドンホイローで暮らす漁師さんの水上集落  ホイロー料理。こんなにどっさり料理されます

 夜は、サンサニーさんによる一日の活動のまとめ(バンコクの自然と人々の生活)、BCSTによる渡り鳥の話を聞きました。ディスカッションでは、大輔先生の指導で日本と同じようにタイと日本でそれぞれの参加者が考えた6つの宝をグループごとにまとめるディスカッションをしました。日本語・タイ語の通訳のボランティアは大活躍でした。もちろんアイスブレイクや、対抗戦ゲームも日本と同じようにやりました。夜の9時までおこない、フィールド学習の疲れが残っているなか、たいへんな盛り上がりでした。

どのグループも真剣なディスカッションでした    みんなが手を挙げ、大輔先生の見事なファシリテートで6つの宝が決まっていきました。 


 3日目。午前中は昨晩からのディスカッションをつづけ、チャオプラヤ川下流域の6つのお宝ポスターを完成させました。午後は、各国で作り上げたポスターを見比べ、6つの宝の共通点や違いなどたくさんの意見を交わし、お互いの価値観を理解しあいました。ここでも通訳ボランティアの協力でディスカッションは白熱しました。
 日本の子どもたちのポスターに選ばれた6つ宝は、「マングローブ」、「自然を大切にする地元の人々」、「湿地の生きもの」、「過去のあやまちから学ぶこと」、「洪水のめぐみ」、「エコツーリズム」で、メッセージは「竹で守られる生命のマングローブ〜歴史に負けない人々の自然を思う心〜」となりました。

タイの子どもたちのポスターは「水」、「マングローブ」、「地元の人の良い心」、「生きもの」、「竹の壁」、「地元の人の生き方」で、メッセージは「友情を築き昔ながらの知恵を生かす」というポスターが完成しました。

 日本とタイで言語の違いもありましたが、ディスカッションの時間だけではなく、休憩時間でも通訳を通しての会話や、身ぶり手ぶり、?語だかわからない会話で、みんな楽しそうに遊んでいました。


修了証をもらって閉会式で終了しました。


タイの子どもたちが完成させたポスター    日本の子どもたちが完成させたポスター 

          


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